「私は真実を暴いているつもりだった。でも本当は、自分の罪から逃げていただけだった」

匿名アカウント「真実の探求者エリ」として未解決事件を追うインフルエンサー・恵理。12万人のフォロワーから「正義の探偵」と崇められる彼女だが、その投稿は矛盾に満ち、断片的で信頼性に欠けていた。なぜなら彼女が本当に追い求めていたのは事件の真相ではなく、7年前に見殺しにしてしまった同級生への罪悪感からの逃避だったからだ。

物語は恵理の内面を通じて現代のSNS社会の闇を描く。承認欲求、自己正当化、そして真実という名の虚構。彼女が最終的に到達するのは、他者の真実ではなく自分自身の真実だった。

「影と向き合う勇気があってこそ、光の中を歩ける」

罪悪感と向き合い、自分を許すことの大切さを描いた現代的心理サスペンス。SNSの向こう側にいる人間の脆さと強さを、痛いほどリアルに描き出す。